『プリズム』 著: 百田尚樹
読みかけの本。随分前に読み始めて、途中でパタリ。
読みを止めて、そのまま。数ケ月も前に止まったまま。
読み終えていない百田尚樹氏の本、他にもあるの‥よ。
幼児虐待事件をニュースで見ることが近年非常に多いですね。
私が先週読み終えた『プリズム』、主人公の主婦の聡子が、
精神科医から、幼児虐待の話を聞く場面が何度かあります。
聡子は、医師からの話で、激しい虐待を受けた子供の中には、
自分を守るために自らを消し多重人格になる事や、幽体離脱を
体験していることを理解します。聡子は、吐き気を感じながらも、
解離性同一性障害について理解を示していきます。その聡子も、
『虐待くらいで解離性同一性障害が起きるのは不思議‥‥それくらいでは
ならないんじゃないかと、心のどこかで考えていたふしがあります。』と
語る場面があります。精神科医は『幼児虐待から生き残った人』『死ぬか、
発狂するか、人格分離を起こすしかないのです。』と話をします。こうして
理解した聡子でさえも、本人から、幼少期に受けた虐待の話を聞き、両耳を
塞いでしまいます。聡子はこれまでの自分自身を以下の様に省みています。
『まさかこれほどの虐待があったとは想像もしなかった。』
『「虐待」の度合いを軽く考えていた自分を罵倒したくなった。』と。
我々はテレビ画面から見たり聞いたりする幼児虐待事件ニュースについて
「軽く考えていた」という聡子の感覚と同様なのかもしれません。
聡子が恋した彼は隔離性同一性障害。そして、聡子が恋した男性は、
彼が抱える多重人格の、そのうちの一つの人格である青年の卓也でした。
卓也から彼の病症を聞き、主治医にも何度も会い、彼の幼少期の虐待事実も知り、
共に彼の病症を理解し、聡子は、特定の人格である卓也に、恋愛感情を燃やしました。
人妻の聡子は、心も肉体も卓也に惹かれて、夢中で彼に恋をした‥‥という小説です。
題名の『プリズム』については、本の中での精神科医が、個人の中にもある様々な人格
について「人間個人の性格は光のようなものかもしれない」と語る場面がありました。
我々が、ふだん目にする光に、色は見えない、でも、プリズムを通すと、光の屈折で、
色の無いはずの光は、虹のように色分けするという話でした。 以上です。